暮らしの工夫 / 心理学
鍵を探してばかりの朝に、小皿をひとつ
玄関を出る直前の探しものを減らしたい。鍵を戻す合図と、トレーを買う前に試せる置き場所の決め方です。
靴を履いたあとで鍵がないと気づくと、片足だけ靴を脱いで廊下を跳ねるように戻ることになる。昨日の上着のポケットに手を入れる。空っぽ。次の電車の時刻まで気になってくるころ、買い物袋の底で、ようやく金属が指に触れます。
こんな朝のあとで決める「これからは気をつける」は、夜になると案外思い出せません。鍵をしまう夜の自分は、重い袋を下ろしたり、冷たいものを冷蔵庫に入れたりするので忙しいのです。
帰ってきた手が、最初に空くところ
帰宅したときの動きを、一度だけゆっくりたどってみてください。鍵をかけ直したとき、どちらの手に何を持っていますか。玄関に棚があっても、そのとき両手がふさがっているなら、普段かばんを下ろす机のほうが置きやすいかもしれません。
「気をつけよう」と思っていても、帰宅するころには別のことを考えています。そこで「かばんを下ろしたら、鍵を小皿に置く」と先に決めておく。こんなふうに、何かをするきっかけと動作を組みにする計画を、心理学では「実行意図」と呼びます。通学かばんでも仕事用のリュックでも、いつも置くところが目印になります。Gollwitzer・Sheeranによる研究レビュー(英語)
最初は、台所に余っている小皿で試せます。翌日も別の棚に鍵を置いていたら、その棚のほうが使いやすいのかもしれません。小皿をそちらへ移して、もう一日試してみましょう。戻しやすい場所は、暮らしながら見つけていけます。
トレーとフック、片手で使いやすいのはどちら?
棚に空きがあり、帰宅時に荷物が多いなら、上から落とし入れられる浅いトレーが候補です。鍵束を実際に紙に置いて一周り大きく線を引き、その線がトレーの内側に収まるか見てみます。深くて細い器は、入れるのは簡単でも、急いでいる朝に指でつまみにくいことがあります。
フックが向くのは、棚を拭くときに物をどかしたくない人や、家族ごとに鍵を分けたい家。鍵の輪にフックの先が通るか、掛ける高さに無理がないかを先に確認します。どちらも、外から手や目が届きにくい場所を選びましょう。いつものかばんに鍵専用のポケットがあるなら、そこを定位置にするのがいちばん身軽です。
買う前に、置きたい場所の条件をメモする
トレーなら、棚に置ける外側の大きさと、鍵束が入る内側の大きさを分けて確認します。底に敷く物が必要なら、それも含めて出し入れできる高さかを。音が気になる人は、底の素材や敷物の有無も選ぶ条件になります。
フックなら、掛けたい鍵束の重さに対応するか、壁や棚の素材に使える取り付け方かを確かめます。粘着式、ねじ式、マグネット式では使える場所が違います。賃貸の壁や家具には、商品の注意書きと住まいのルールを先に確認してください。
まず三日ほど、手元の小皿やかばんのポケットを定位置にしてみましょう。「戻す場所は合うけれど、取り出しにくい」と分かってからなら、道具に求めるものがはっきりします。置き場所が決まらないまま器だけ増やすより、帰宅時の動きをもう一度たどってみるほうが役立つ日もあります。
明日の朝、両足の靴を履いたままで玄関を出られたら、それで上出来。小皿は食器棚に戻しても、鍵の居場所として残しても、どちらでも。
あなたの心が軽くなりますように。