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生きる知恵 / 哲学

頼まれごとを引き受ける前に、土曜日の午後を見に行く

「大丈夫です」と返す前に少し考えたい。予定の余白を確かめ、相手にも自分にも無理の少ない返事を探します。

くらしと心の道しるべ · 公開日

「土曜の午後、ちょっと手伝える?」。予定表を見ると白い。空いているのだから行けるはず、と文字を打ちかけて、なぜだか指が止まる。用事の名前こそついていなくても、たまった洗濯物を片づけて、買いそびれたパンを買いに行きたかった午後かもしれません。

部活や仕事が続いた週なら、少し遅いお昼を食べて、ソファでぼうっとしたいかもしれません。予定表には書きそびれても、それも土曜日にしたかったことです。

「ちょっと」って、何時から何時まで?

まず尋ねたいのは「何時から何時ごろまで?」。相手の「ちょっと」が、机を一つ動かす十分間なのか、車を出して往復する半日なのかで答えは変わります。「今日の夕方までに返事してもいい?」と先に伝えておくと、待ってもらう時間にも終わりができます。

アリストテレスが『ニコマコス倫理学』第二巻で述べる「中庸(ちゅうよう)」は、誰にでも同じ量を割り当てればよい、という話ではありません。人や事情に応じてふさわしい加減を考える視点です。これを土曜日の相談に借りるなら、毎回半分だけ引き受けるという決まりも要りません。たとえば学校行事や町内の集まりで、「会場づくりを手伝って」と頼まれたとします。机を並べるところまでなら行ける日も、一緒に片付けまでできる日もあります。今度の土曜はどちらだろう、と考えてから返事をしていいのです。『ニコマコス倫理学』第二巻・第6節(英訳)

返事の文面は短くて大丈夫です。「二時から三時なら手伝えるよ。長くかかりそうなら別の日にしようか」。今回は休みたいなら、「今週は難しいよ。声をかけてくれてありがとう」。代わりの日を本当に用意できるときだけ、最後にその日を添えます。

余白が見える手帳を選ぶなら

手帳を買い替える前に、家にある紙に土曜日の午後を横一本の線で引き、頼まれた作業と、そこへ行って帰る時間を塗ってみてください。作業が一時間でも、戻って昼食の食器を洗えるのが何時か、ぐっと具体的になります。

午後の予定の例。行き30分、手伝い1時間、帰り30分、合わせて2時間。
手伝うのは一時間。行き帰りを足すと、家を空けるのは二時間。

今の予定表で行き帰りまで書けたら、そのまま一週間使ってみましょう。休日に用事が多い人は、土日の欄の幅も確かめておくと、自分に必要な書く場所が見えてきます。

手帳の見本に、実際の土曜日を書いてみる

買い替えを考えているなら、「二時から三時に手伝い、前後に三十分ずつ移動」という予定を、候補のレイアウトに当てはめてみます。時間ごとの縦の目盛りは一日の流れを見たい人に、週の見開きは空いている日を探したい人に、月間の一覧は日付だけを確かめたい人に向いていそうです。月間の小さな一枠だけでは、行き帰りまで書くと窮屈になる場合があります。

持ち歩くなら、閉じた大きさだけでなく重さも確認を。机に置くなら、見開きが収まる幅を測ります。家族との共有が主な目的なら、今ある共有カレンダーを続けるほうが転記せずにすみます。予定を書く場所が二つある人は、どちらを最新にするかも決めておきましょう。

日付入りの手帳は使い始めの月、リフィル式は本体と中の紙の規格も見ておくと、買ったあとで、必要な物が足りずに困ることを減らせます。用事の前後に時間を残す書き方も、一週間の見本に使えます。

予定表を閉じたとき、「この返事なら土曜の自分も困らない」と思えたら、送っていいころです。パン屋に寄るだけの午後にも、ちゃんと一人分の過ごし方があります。

あなたの心が軽くなりますように。